
3年間空室だった投資マンションの任意売却【大阪市西淀川区/56歳・男性】
相談者 | 中島慎太郎(仮名)・56歳 |
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所在地 | 大阪市西淀川区 |
職業 | 自営業 |
家族 | 妻と子(大学3年女・高校2年女)の4人家族 |
残債務 | 1,000万円 |
住宅ローン債権者 | オリックス銀行(オリックスサービサー) |
ご相談の時期
投資用マンションを所有していた中島さんですが、この3年間家賃収入が全くなく、持ち出しをしてなんとかローンを支払っているという状況で当社へ相談に来られました。
ご相談内容
中島さんは25年程前に友人のすすめで投資用の中古マンションを1800万円で購入しました。購入後すぐに借り手は現れ、毎月2万円程のプラス収入があったそうです。
しかし、入居者が入れ替わるたびにリフォームや設備の交換などトータルで見ればそんなに儲かる投資ではなかったとのことです。それでも将来、ローンが終われば、老後の生活の足しになると思いこれまで売却することなく返済を続けてきました。
しかし、購入から10年経った頃から次第に入居者が見つかりにくくなってきました。その為、家賃を下げざるを得なくなり、儲かる投資ではなくなってきたのです。
そして、購入から15年後、収支状況はさらに深刻さが増し、家賃を下げても入居者が現れず、なんと今に至る5年もの間、部屋は空室ままとなってしまったのです。
というのも近くにあった工場などの施設が次々に閉鎖され賃貸需要の無い地域へと変わっていったのです。またセキュリティー面でも他のマンションとは劣っており、それが輪をかけて入居者が集まらない原因にもなっていたようです。
空室の間、中島さんは銀行へ毎月4.5万円を持ち出していました。そしてローンの完済までまだ十数年残ってたため、この4.5万円の負担はとても大きな負担に感じようになってきたのです。
そこで売却をしようと不動産会社へ相談したころ、売却できても600万円程の価値にしかならない、オーバーローン状態であることを知りました。不動産会社からは、このまま頑張って支払いを続けるか、支払いを止めて競売にしてしまうかの選択肢しかないと言われました。
競売になるくらいなら頑張って支払わなければならないのかと覚悟を一度は決めましたが、やはり毎月4.5万円の負担は大き過ぎます。
そこでホームページなどいろいろと調べていると任意売却という手段があることを知ったのです。
ご相談者の希望
- 毎月の返済から解放されたい
- 借金を減らしたい
- マンションを手放したい
- 自己破産はしたくない
解決に至るまで
中島さんの要望は毎月4万円の返済から解放されたいというものでした。しかし、現在の収入状況を伺ったところ、決して4万円の捻出が不可能であるとまでは言えない経済状況でした。
収支状況
収入 | 支出 | ||
夫 | 30万円 | 食費 | 7万円 |
妻 | 10万円 | 水道・光熱費 | 4万円 |
通信費 | 3.5万円 | ||
車両費 | 2.5万円 | ||
保険料 | 3.5万円 | ||
教育費 | 3.5万円 | ||
夫小遣い | 3万円 | ||
子小遣い | 2万円 | ||
雑費 | 5万円 | ||
医療費 | 0.5万円 | ||
預金 | 1万円 | ||
ローン返済(オリックス) | 4.5万円 | ||
合計 | 40万円 | 合計 | 40万円 |
*自宅は父所有の不動産のため、住宅ローンはない。 |
しかし、子供のこれからの学費や自身の老後預金などほとんどできていない状況です。毎月4.5万円の負担がなければいくらか預金に回せることができます。今はなんとかローンを支払うことができても、将来の生活が脅かされる経済状況にあると思えば任意売却はできます。
ただ、このケース、中島さんには任意売却のデメリットについてしっかりお伝えしておく必要があります。任意売却は一般的に競売と比較がされます。この比較であればほとんどデメリットありません。
しかし、通常の不動産売却と比較すればやはり任意売却にはたくさんデメリットがあります。
【任意売却のデメリット】
❶任意売却に失敗すれば競売になってしまう
❷競売になれば名前や住所が公開される
❸個人信用情報に事故履歴として記載される(ブラックリスト)
❹任意売却後の残債務について返済は続く(リスケジュールはされる)
❺他に財産を所有していればそれが差押えられるリスクがある
以上の内容をお伝えしました。
この中で中島さんの一番の気がかりは❶でした。
任意売却を選択すればもう後戻りはできません。任意売却は返済が出来ない方を対象とした売却手段である為、任意売却に失敗すれば債権者は競売手続きに必ず踏み切ります。
ただ、任意売却の成功率は時間に比例しており、中島さんのようにまだ競売の申立てがされていない状況での成功率は90%以上(詳しくはこちら)になります。今回のマンションは賃貸需要の少ない地域であるというものの、時間さえあればなんとかなるものです。
最終的に中島さんはその成功率にかけ、任意売却することを決断されました。
そして当社に依頼後、早速、オリックスサービサーに任意売却する旨を連絡しました。これまで一度も滞納がなかったので担当者は任意売却に難色を示していましたが、6ケ月の滞納という規制事実をつくると、最終的に任意売却を認めてくれました。
次は販売価格の設定です。これについては債権者も賃貸重要の少ない地域であることに理解を示し、600万円で売り出すことになりました。そして販売から3ケ月後、600万円で購入したいとう方が現れ、すぐに契約。そして決済を行い、無事任意売却を完了させることができました。
任意売却後の中島さんの残債務は約500万円。これについては毎月5,000円づつ返済していくことに決まりました。
現在、中島さんはその返済を続けていますが、借金としてはまだ残っている状態です。いずれ和解(詳しくはこちら)というかたちで決着する日がくると思いますが、それまで中島さんにはそれなりのリスクもあります。全てが解決されたという訳ではありませんが、これまでの不安に比べれば気持ち的に楽になったのではないでしょうか。
当社へ任意売却の相談に来られる方の多くは、既に滞納が始まっている方がほとんどです。そこに至るまで食べる物、着る物、病院に行くお金すら節約し、家族にも大きな影響を及ぼしています。
しかし、中島さんのように今はまだ返済する余力はあっても、近い将来破綻するかもしれないという状況で相談に来られれば、最小限の傷口で済ませること可能になります。
今回の事例において、早い段階での相談がいかに重要であるかということがお分かりなったのではないでしょうか。