住宅ローン滞納 「巻き戻し」

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『住宅ローンの巻き戻し』という言葉をご存知でしょうか。
住宅ローンを3ケ月又6ケ月以上滞納すると代位弁済という手続きがとられ、これまで窓口だった銀行から保証会社に代わります。
保証会社によって代位弁済されると、その債権は正常債権ではなくなりリスク債権として扱われ、債権者主導の債権となり最終的には競売によって不動産は換価されてしまいます。
巻き戻しとは、保証会社に移ってしまったリスク債権を、もう一度銀行に戻す行為のことを言います。
●この巻き戻しという行為、どんな時に行われるのか・・・?
それは、債務整理の中の個人再生(住宅ローン特則)を活用するときに必要になります。
個人再生は住宅ローン以外の借金は整理されますが、住宅ローンについてはこれまで通りの返済額を支払わなければなりません。
ところが、保証会社というところは、原則、競売又は任意売却、一括弁済しか受け付けず、分割弁済は認められません。
そこで、個人再生という法的手続きをとることで、当初の窓口だった銀行に債権を戻し、これまで通りの分割弁済を可能にさせることができるのです。
●なぜ、そんなことができるのか・・・?
それは法律で決められているのです。
民事再生法204条 保証会社の債務履行の取り扱い
住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定した場合において、保証会社が住宅資金貸付債権のかかる保証債務を履行していたときは、当該保証債務の履行は、なかったものとみなす。
というように、法律では借金問題を解決させるために債務者に与えられた権利として、巻き戻しという行為が認められているのです。
●「巻き戻し」をするにも期限がある。
それは競売の入札日までには個人再生の申し立てを行うということです。
誰かに落札されてしまったあとでは、競売を中止にさせることができないのです。
●「巻き戻し」をした場合の返済額
個人再生における住宅ローンの返済はこれまで通りの返済額を継続しなければなりません。
巻き戻しを行うと、この住宅ローン以外に負担しなければならないお金が発生します。
それは、これまで滞納していた住宅ローンや延滞金について、住宅ローンの返済とは別に返済計画に基づき返済していかなければならないのです。
例えば、住宅ローンの返済が10万円で、これまでの滞納していた住宅ローンが70万円、延滞金10万円とすると、月額22,000円(80万円/36ケ月の3年計画)を住宅ローンの返済とは別に支払うことになります。
個人再生によって借金を整理するといっても、住宅に関する返済12.2万円/月と他借金の返済と合せれば、結構な金額になってしまうものです。
以上、住宅ローンの「巻き戻し」について、お話しをさせていただきました。
この手続きは非常に複雑で費用もかかります。
また、これに慣れている専門家もそう多くないのも現実です。
また、債務者の方にとっても、個人再生の手続きをしたものの、結局、厳しい生活を送らなければならいということが非常に多くあります。
ですので、個人再生をとる際は、早めに専門家に相談し、本当にそれが生活再建の為の一番の解決策になるのかをしっかりと考える必要があるのです。