マンション管理費滞納は競売になっても請求される

このコラムの要点

マンションといった共同住宅には必ず管理費や修繕積立金などがありますが、これら費用を滞納した状態で競売になってしまった場合、前所有者の滞納分はどうなるのか・・・。 競売で落札した新所有者を特定承継人と...

マンションといった共同住宅には必ず管理費や修繕積立金などがありますが、これら費用を滞納した状態で競売になってしまった場合、前所有者の滞納分はどうなるのか・・・。

競売で落札した新所有者を特定承継人というのですが、この特定承継人には前所有者の管理費等の滞納分の支払義務が課せられます。(区分所有法第8条)

ですので、「競売になったら滞納分はなくなる」と、思ってしまうものです。

しかし、それは誤りなのです。

管理組合の立場からみると、競売になっても2人(前所有者と落札人)の存在は依然債務者であることは変わりないのです。
ですので、競売によってまだ管理費等の滞納が残っているような場合、管理組合は落札人にも滞納残額を請求できるのと合せて、前所有者にも残りを請求できるのです。
連帯債務のような関係です。(不真正連帯債務(ふしんせいれんたいさいむ)の関係と言われています。)

そして、次に押さえておかなければならないことは、前所有者は落札人からも請求されることがあるということです。(これを求償権と言います)

例えば、落札人が管理組合に管理費滞納分全額100万円を支払ったとすると、その支払った100万円全額を、落札人は前所有者に請求できるのです。

先ほど、管理費滞納の債権債務において前所有者と落札人は連帯債務(厳密には、不真正連帯債務)の関係にあると言いましたが、本来連帯債務というのは、連帯債務者間に負担割合というのがあり、その負担割合に応じた金額しか、他の連帯債務者に請求することはできません。

どういうことか・・・。

競売落札人が管理組合に100万円(滞納分)支払ったとすると、落札人は負担割合(1:1の場合)に応じて、前所有者に50万円を請求することができるということです。

しかしながら、競売という強制的な売却において、落札人と前所有者との間で負担割合など決める場などありません。
また、損害賠償事件のように過失割合なども存在しません

そこで、裁判所は過去にこんな判決を出しました。

「マンションの特定承継人(≒落札人)は未納管理費を重量的に債務引受けし、本来の債務者(前所有者)の債務と不真正連帯債務を負うが、前所有者との負担関係は、前所有者に全額負担部分があり、特定承継人の責任は二次的、補充的なものに過ぎないので、特定承継人が支払った未納管理費全額を本来の債務者である前所有者に求償できる」という判決です。

連帯債務(不真正連帯債務)で存在する負担割合が、マンション管理費滞納においては、負担割合はなく、特定承継人が負担した全額を前所有者に請求(求償)できるということです。

競売になれば、滞納している管理費の支払いは無くなると思われがちですが、実は競売の落札人から請求を受けることがあるのです。

ただ、競売落札人が前所有者から滞納分を現実的に回収できるものか・・・というとそれは難しいでしょう。
競売になる方の多くは、経済的資力が乏しい背景があります。
ですので、落札人は回収できると心底思っていないものです。
ただ、自己破産しない限り、請求されるリスクを消すことができないということだけは知っておいてください。

このお悩み解決コラムの著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント

1974年生まれ 大阪府出身
近畿大学 理工学部 卒業

大手ゼネコンにて技術者として従事したのち心機一転、不動産業界へ転職。不動産コンサルティング会社在職中に偶然知った「任意売却」こそ「自分が一生を賭けてやるべき仕事」と直感、一念発起し退職。アポなしで任意売却の専門会社に飛び込み門前払いされるも諦めず、半年間手紙で熱意を伝え続けた末に採用される。真摯に任意売却と向き合い懸命に努力した結果、実績が認められて代表取締役へ就任したものの、独立。日本で初となる法律業務も扱う任意売却専門会社「烏丸リアルマネジメント」を設立し、現在に至る。
金融機関や士業者からの信頼が厚く、任意売却の専門家として全国各地で講演も行う。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。
『幻冬舎ゴールドオンライン』、『マイベストプロ京都』にてコラム執筆中。著書に『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬社)がある。

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