任意売却業者の選び方について、怪しい業者の見分け方を教えてもらえませんか?

このコラムの要点

任意売却取引で実際に行われていた怪しげな取り引きとして、
❶ 領収書がない
❷ 売却価格が極端に安い
❸ 販売活動の形跡がない
❹ 引越費用がない
❺ 仲介手数料以外の報酬
❻ 価格の異なる契約が2通ある
といったことがあります。任意売却の依頼先を決定する際は細心の注意を払うようにしましょう。

当社へ来られるご相談者はこれから任意売却をしたいという方だけではありません。他社ですでに任意売却が終わった方もご相談にこられます。主に任意売却後の残債務についてどうしたらいいのかというご相談です。

そのご相談のお話しの中で、任意売却時の売買契約書や領収書などを確認していると、なんとも怪しげなやり取りが交わされていることに気付くときがあります。今日はその怪しげなやり取りをご紹介したいと思います。

❶ 領収書がない

物を買えば必ず領収書は発行されます。ましてや不動産という大きな金額になれば必ず領収書は発行されるものです。しかし、それがないのです。

任意売却の取引は一般的な不動産取引とは異なり、不動産の売却価格の中に債権者への分配金、登記費用、仲介手数料、税金、引越費用など多くの細かな費用が含まれています。それら費用の総額が不動産売却価格になるのですが、そういった費用の領収書がないことでお金の動きが全く掴めないのです。恐らく、分られては困るため、領収書を渡していないのでしょう。また発行されていても一部がしかないというケースもあります。信じられないかもしれませんが、これが結構見受けられるのです。

❷ 売却価格が極端に安くなっている

任意売却の購入者は一般消費者の方もいれば不動産会社のようなプロの方もおられます。一般消費者の場合は本来の相場で購入されることが多いのですが、不動産会社のようなプロの場合はやはり一般消費者よりも安く購入されることになります。

プロが購入したからといって不当な取引かというとそうではないのですが、それにしても安す過ぎる価格で売却されているケースがあるのです。先日あったケースでは一般相場価格2,500万円の不動産が1,200万円で売却されているのです。不動産会社の利益は諸費用を差し引けば軽く1,000万円はあるでしょう。利益率83%という度胆をぬかされる取引です。この時の状況をご相談者に伺うと、任意売却業者から「そういものです」と言われたそうで、疑うことなくそれを信じたそうです。ここまでくれば騙す方にも責任がありますが、騙される側にも落ち度があると言わざるを得ません。これにより、残債務について自己破産しようとしても、不当な取引があったことで、裁判所は自己破産を認めない場合があるのです。また、契約の無効を訴えたところで、契約書にサインをしてしまっている以上、それを覆すことは非常に難しくなります。

任意売却はオーバーローン(残債務>不動産価値)だけではありません、アンダーローン(いわゆる売却すると手元にお金が残る)のケースもあります。この場合、債権者はあくまで借金全額を回収できればそれでいいため、不動産の売却価格について口を挟むことはありません。売主さんの同意だけで売却は可能になります。その売主さんが不当な売却金額であることに気付かなければ、騙されてしまうということです。不当な金額で売却されるケースの共通点はアンダーローン任意売却に集中しています。

❸ 販売活動の形跡がない

不動産会社が販売活動をするにあたって、宅建業法上、不動産流通機構に物件を登録しなければなりません。しかし、それを行われている形跡がないのです。

不動産流通機構への登録は、「売主さん保護」のためのものです。売却を依頼した不動産会社だけに販売を任せていては成約の確率が低くなります。そこで不動産流通機構へ登録することで、他の不動産会社も情報配信することができ、販売の機会損失を最小限に抑えることができます。しかし、登録することで売却依頼をうけた不動産会社にはデメリットが生じます。それは仲介手数料を買主さんから貰うことができなくなるのです。業者としては売主さん以外にも買主さんからも仲介手数料を得ることができれば報酬は2倍になります。ですので、不動産を流通機構に登録せず、自社だけで購入者を見つけようと試みる不動産会社があるのです。これを「囲い込み」と呼ぶのですが、大手の不動産会社でも平気で行われているのが現実のところです。これにより、必要以上に販売活動に時間を要し、競売を申立てされてしまったり、本来の価格よりも低い価格で売却されてしまう等のリスクが生じます。

❹ 引越費用がない、または、少ない

任意売却のメリットの一つに引越費用(現金)を受け取ることができるというものがあります。このお金は基本的に債権者との交渉や調整によって捻出されるものなので、債権者が駄目だと言えば貰うことができません。ですので、引越費用は貰えないこともあると認識されがちです。しかし、引越費用が全くないという状況になることはほとんどないのです。債権者が引越費用を認めなくとも、買主から引越費用を貰う(必要額)ことができます。これも買主さんとの交渉になりますが、高額な金額を求めない限り、ほとんどのケース、引越費用を負担してくれるものです。また、売却金額と引越費用の金額を見比べれば、いくら位の現金を受け取ることができるかは、私達がみればある程度予想できます。しかし、任意売却が済んで当社にこられるご相談者の中には引越費用を全く受け取っていないという方が結構多くいらっしゃるのです。

❺ 仲介手数料以外にも報酬を支払っている

不動産を取り扱う宅建業者は、原則、仲介手数料以外に売主さんから報酬を貰ってはいけないと法律で定められています。しかし、債権者交渉費用、コンサルティング費用、広告宣伝費用等の名目で何十万円ものお金を支払わせているのを見ることがあります。当然、領収書は1枚もありません。

❻ 価格の異なる契約書が2通ある

価格が異なる契約書が2通あるというのは、実は任意売却取引に限ったことでなく、一般的な不動産取引でもあったりします。当然違法で、見つかれば罰せられます。これ買主さんが任意売却物件を住宅ローンで購入する場合に見受けられます。住宅ローンは一般的な金利に比べ極めて低い金利でお金を借りることができます。ですので、購入者の中には少しでもお金を多く借りたいと考える人もいるのです。そこで、買主や任意売却業者が売主さんに歩みより、本来1,500万円の物件価格のところを、2,000万円にしてその差額を戻してくれないかと要求してくる場合があるのです。買主さんのお金を借りる銀行には2,000万円の契約書を提出し、売主さん側の債権者には1,500万円の契約書を提出するということで、2通の契約書が必要になってくるのです。これは犯罪です。良く分らず、任意売却業者の言われるががまま契約書に判子を押してしまうと、知らず知らずのうちに犯罪に加担しているというケースもあるのです。

最後に

任意売却は、最近でこそ認知されてきましたが、一昔前は整理屋と言われ、グレーな業界でした。不動産に携わる人の中でもそれを扱う人はごく一部で、見るからに怪しげ人達が任意売却を扱っていました。というのも、当時は法律が整備されていなかった為、今で言う反社会的勢力がビジネスの場として利用していたこともあったのです。

しかし、現在は法律が改正されたことで反社会的勢力が参入してくることはなくなりましたが、それでも、上記でご紹介をしたような怪しげな取引をしている業者がいるのも事実です。こういった悪徳業者を見分けるというのは非常に難しいですが、依頼をする際は、担当者がどんな人か、怪しげな動きをしていないかなど、細心の注意を払うようにしてください。

(参考)「後悔しない任意売却業者の選び方を教えてください

このお悩み解決コラムの著者

烏丸リアルマネジメント株式会社
代表取締役
矢田 倫基

宅地建物取引士
任意売却コンサルタント

1974年生まれ 大阪府出身
近畿大学 理工学部 卒業

大手ゼネコンにて技術者として従事したのち心機一転、不動産業界へ転職。不動産コンサルティング会社在職中に偶然知った「任意売却」こそ「自分が一生を賭けてやるべき仕事」と直感、一念発起し退職。アポなしで任意売却の専門会社に飛び込み門前払いされるも諦めず、半年間手紙で熱意を伝え続けた末に採用される。真摯に任意売却と向き合い懸命に努力した結果、実績が認められて代表取締役へ就任したものの、独立。日本で初となる法律業務も扱う任意売却専門会社「烏丸リアルマネジメント」を設立し、現在に至る。
金融機関や士業者からの信頼が厚く、任意売却の専門家として全国各地で講演も行う。数多くの住宅ローン困窮者を救ってきた面談は「心のカウンセリング」と呼ばれ、関西圏のみならず全国から相談者が後を絶たない。
『幻冬舎ゴールドオンライン』、『マイベストプロ京都』にてコラム執筆中。著書に『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬社)がある。

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